戦略のまとめ
本日の基本戦略は、「10時通過までの様子見と『事実売り』の急反落警戒」であった。
昨日の圧倒的な踏み上げ相場と、依然として解消されていない巨大な乖離値を重く見て、本日のNF日経レバ(1570)の想定レンジは47,000円〜49,800円と広めに設定した。特に、日本時間午前10時に予定されていたトランプ米大統領の国民向け演説が最大のリスクイベントであると位置づけ、寄り付きから10時前までは高値掴みを避け、演説通過後の急反落(事実売り)を最大級に警戒するというシナリオを描いていた。
実際の値動き

結果として、市場は我々の警戒をさらに上回る「暴落」という形で大統領演説に応えることとなった。
■日経225
・始値 54,066円
・高値 54,258円
・安値 52,273円
・終値 52,463円(前日比 -1,276円)
■NF日経レバ(1570)
・始値 49,030円
・高値 49,200円
・安値 45,610円
・終値 46,000円(前日比 -2,330円)
寄り付き直後は米国株高の余韻を引き継ぎ、日経平均は54,200円台、NF日経レバも49,200円まで上昇し、想定レンジの上限付近で堅調に推移していた。しかし、10時から始まったトランプ大統領の演説において「イランへの極めて厳しい打撃」や「発電所への攻撃」など強硬な発言が飛び出すと、中東紛争終結への期待は一瞬にして雲散霧消した。
相場は一転してパニック売りに見舞われ、節目の53,000円をあっさりと割り込むと、後場にかけても下げ止まらず、日経平均は1,200円超の大幅反落となった。
テクニカル分析(1570チャートより)
添付の5分足チャートを確認すると、10時を境にした相場の崩壊が如実に表れている。
・ローソク足:9時台に49,200円の高値を付けた後、10時台から巨大な陰線を連続して形成し、滝のような下落を見せている。
・MACD:10時以降、DIF(-117.825)がDEA(-173.131)を下回るデッドクロスを形成し、ヒストグラムは一気にマイナス圏へ深く沈み込んだ。下落モメンタムの強烈さが視覚的にも明らかである。
・移動平均線:急落に伴い、短期線が中期・長期線を完全に下抜けており、買い手不在のまま売りが売りを呼ぶ展開であったことが確認できる。
本日の日経225とNF日経レバの乖離値及び値幅
■本日の乖離値
5,000円〜6,600円
■本日の値幅
2,600円
明日の相場を占う上で、極めて重要なシグナルとなるのがこの2つのデータである。
昨日1,900円だった値幅が、本日は一気に2,600円へと再拡大した。これは相場が完全に方向感を見失い、ボラティリティの波に呑まれている証拠である。さらに、これだけの暴落を経てもなお、乖離値が「5,000円〜6,600円」という異常な水準を残している点は見逃せない。依然として相場に下方へのバイアス(テクニカル的な歪み)が残存しており、底打ちを判断するには時期尚早であることを強く示唆している。
反省
本日の最大の反省点は、「大統領演説による急反落リスク」自体は正確に予測できていたものの、その「下落の深さ」を見誤ったことである。
日経平均のロイター予測(下限53,000円)や、NF日経レバの自らの想定レンジ(下限47,000円)を大きく下掘る結果となり、地政学リスクの再燃が市場に与える破壊力を過小評価していた。トランプ大統領の発言という外部要因に相場全体がこれほどまでに振り回される脆弱な地合いにおいて、押し目買いの指値を入れることの危険性を改めて痛感した一日であった。
東京市場サマリー(MOOMOO証券より引用)
2日の日経平均は大幅反落。終値は1276円安の52463円。米国株高を好感して寄り付きは300円を超える上昇を見せ、54200円台に乗せた。しかし、10時からのトランプ米大統領の演説を受けて、イランとの戦闘終結期待が大きく後退し、一気にマイナス圏へ。
節目の53000円をあっさり割り込み前場を終えると、後場は一段安。反転の手がかりに乏しく低空飛行が続いた。東証プライムの売買代金は7兆8100億円。業種別では海運、陸運、倉庫・運輸の3業種のみがプラスで、石油・石炭、鉱業、非鉄金属などが大きく下落した。
買い優勢金額は1.12兆円に対し、売り優勢金額は1.32兆円と、明確な売り越し状態であった。
本日の注目銘柄
大統領演説によって明暗がくっきりと分かれた本日の相場を象徴する銘柄群である。
・三菱重工業(7011)など防衛関連:地政学リスクの再燃を受け、三菱重工業をはじめ、IHI(7013)、川崎重工業(7012)などに投資マネーが集中。防衛費拡大の思惑から仕切り直しの買いが入った。
・肥料関連(太平洋興発、片倉コープアグリなど):中東からの肥料原料供給停滞の長期化懸念から、朝安後に急速に切り返す動きを見せた。
・ソフトバンクG(9984)及び半導体関連:原油高と紛争終結期待の後退によりマイナス転換。東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)も大きく売られた。
・暗号資産関連(メタプラネットなど):ビットコイン価格の下落に連動し、メタプラネット(3350)などが大幅反落。
・住友ファーマ(4506):米国の医薬品に対する100%関税報道が嫌気され、本日値下がり率トップの急落。
■全体動向トップ
・値上がり率トップ:日本郵船(9101)(+2.97% / 6,162.0円)
・値下がり率トップ:住友ファーマ(4506)(-9.57% / 2,018.5円)
次回戦略
本日の2,600円という巨大な値幅と、大陰線によるテクニカルの悪化を受け、明日(4月3日)の相場は「底値模索の警戒モード」へと移行せざるを得ない。
依然として残る5,000円〜6,600円の乖離値は、下落圧力がまだ完全に抜けきっていないことを示唆している。今夜の米国市場における原油価格(WTI)の動向と、ハイテク株の反発力が焦点となるが、地政学リスクという極めて不確実性の高いノイズが市場を支配している以上、安易なリバウンド狙いは怪我の元である。
次回の戦略は「徹底した戻り売り目線と、下値のサポートライン(日経平均52,000円、NF日経レバ45,000円水準)での攻防の見極め」とする。反発局面があってもトレンドの転換とは見なさず、ポジションを軽くしてボラティリティの収束を待つのが賢明だろう。
閉めの言葉
上がると思えば下がり、下がると思えば一気に戻る。そして本日は、その期待すらも残酷に打ち砕かれた。
昨日の歴史的なショートカバーによる熱狂から一転、たった一度の演説で梯子を外されるのが相場の恐ろしさである。想定レンジを無残に打ち破られた悔しさはあるが、この乱高下に感情をすり減らしてはならない。
異常なボラティリティと巨大な乖離値。この相場はまだ、我々を試している。焦る必要はない。相場の声に、静かに耳を傾けるだけでいいのである。

