戦略のまとめ
本日の事前の戦略は、トランプ米大統領による「イランへの攻撃を2週間停止する」という停戦合意のヘッドラインを受け、地政学リスクの急後退を背景とした「トレンド発生に乗る順張り+急騰後の利確警戒」を基本方針としていた。
想定レンジは前日の水準から強気に上へシフトさせ、「48,200円 〜 49,500円」と設定。寄り付きの大きな窓開け(ギャップアップ)には素直に順張りで付いていく一方で、異常に高止まりしていた乖離値と、「2週間の期限付き」という事実を冷静に捉え、上値圏(49,000円台)に達した後は細かく利益確定を進めるシナリオを描いていた。
実際の値動き

結論から言えば、本日の相場は我々の想定レンジはおろか、市場のあらゆる予測を遥かに凌駕する「歴史的な踏み上げ相場」となった。
■日経225
・始値 54,386円
・高値 56,424円
・安値 54,380円(寄り底)
・終値 56,308円(前日比 +2,878円)
■NF日経レバ(1570)
・始値 52,180円
・高値 53,020円
・安値 51,520円
・終値 52,900円(前日比 +5,150円)
日経225、NF日経レバともに、寄り付きから信じがたいほどの巨大な窓を開けてスタート。日経平均は54,000円をあっさりと超え、勢いそのままに55,000円、さらには56,000円の大台まで一気に駆け上がった。1570に至っては、事前の想定レンジ上限(49,500円)を寄り付き(52,180円)の時点で完全に置き去りにし、終値で前日比+5,150円という驚異的な上昇を記録。押し目らしい押し目を全く作らず、終日強い価格帯を維持し続ける「買いが買いを呼ぶ」展開であった。
テクニカル分析(1570チャートより)
添付の4月8日のチャートを確認すると、本日の相場がいかに規格外であったかがテクニカル面からも浮き彫りになる。
・ローソク足と移動平均線:前日までの揉み合い帯から完全に上放れし、チャート上に巨大な「窓(ギャップ)」を形成した。短期・中期・長期のすべての移動平均線を遥か下方に置き去りにする大陽線である。
・MACD:長らくゼロライン付近で低迷、あるいはマイナス圏で推移していたMACDヒストグラムが、一気に強烈なプラス圏へと急拡大している。上昇モメンタムが爆発的に発生した明確なサインだ。
・RSI(相対力指数):これだけの窓開け急騰を見せたことで、RSIは一瞬にして「買われすぎ(70以上)」の過熱水準へと突入しているはずだが、本日のような売り方不在の踏み上げ相場では、オシレーター系の過熱感は機能せずに高止まりしやすい。
本日の日経225とNF日経レバの乖離値及び値幅
■本日の乖離値
3,400円〜2,800円
■本日の値幅
1,500円
明日の相場を占う上で、この2つのデータは極めて重要な変化を示している。
まず特筆すべきは、昨日まで5,400円〜6,000円という異常値で高止まりしていた「乖離値」が、3,400円〜2,800円へと急速に縮小したことである。これは、レバレッジETF(1570)の価格が、日経平均の歴史的急騰に追いつき、溜まっていた歪み(マグマ)が本日の上昇によって一気に解消に向かったことを意味する。
一方で、「値幅」は1,500円と、昨日(1,400円)と同等以上の高いボラティリティを維持している。これだけ上昇したにもかかわらず値幅が広いということは、高値圏でも商いが活発に行われており、相場のエネルギーがまだ完全に枯渇していないことを示唆している。明日の判断材料として、「歪みは解消されたが、熱狂(ボラティリティ)は継続している」という事実を念頭に置く必要がある。
反省
本日の最大の反省点は、「日経平均のロイター予測、およびNF日経レバの想定レンジを大幅に上回る展開となり、相場の強さを完全に見誤った」ことである。
地政学リスクの後退を好感した買いが入ることは想定通りであったが、ショートカバー(空売りの買い戻し)を巻き込んだ強烈な踏み上げの連鎖が、これほどまでに強い価格帯を維持し続けるとは予想しきれなかった。想定レンジの上限で早々に利益確定をしてしまい、その後の「+5,000円超」という大波に乗り切れなかった投資家も多かったのではないだろうか。相場のセンチメントが「恐怖」から「熱狂」へと転換した際のエネルギーは、いかなるテクニカルの壁も容易に粉砕するという教訓を、強烈に刻み込まれる1日となった。
東京市場サマリー(MOOMOO証券より引用)
8日の日経平均は大幅に4日続伸。終値は2,878円高の56,308円。トランプ大統領の交渉期限直前に「2週間の停戦」が伝わったことで、全面高の展開となった。寄り付きから900円超の上昇で始まり、55,000円の節目もあっさり突破。後場も一度も56,000円を下回ることなく、半導体株や電線株など主力グロース株が派手に上昇した。
東証プライムの売買代金は概算で9兆6,600億円と、歴史的な大商いとなった。業種別では非鉄金属が11.6%高と突出。一方、これまで地政学リスクで買われていた鉱業、海運、石油などは逆行安。買い優勢金額1.91兆円に対し、売り優勢金額1.55兆円と、圧倒的な買い意欲に市場が包まれたことがデータからも明白である。
本日の注目銘柄
本日は、停戦合意によるリスクオンの恩恵を受けたグロース株・半導体関連株と、リスクプレミアムが剥落した資源株とで明暗がくっきりと分かれた。
・キオクシアホールディングス(285A):上場来初の配当実施検討との報道を材料に、急騰して青空圏へ再突入。
・古河電気工業(5801):AIデータセンターの象徴株として買い攻勢が加速。一時16%超の急騰で上場来高値を大幅更新し、値上がり率トップ(+17.61% / 42,940円)。
・岡本硝子(7746):LED新技術開発の発表を好感し続急騰。
・Fusic(5256):QPS研究所向けシステムの納品を発表し後場急騰。
・ACSL(6232):防衛省向けの大型案件受注を好感し続急伸。
・INPEX(1605):原油の先高観が後退したことで売りが集中し、値下がり率トップ(-6.23% / 4,201円)。
次回戦略
本日の歴史的な急騰と巨大な窓開けを受け、明日(4月9日)の戦略は非常に高度な判断が求められる。
乖離値は縮小したものの、RSIなどのオシレーターは極度の過熱を示している。また、これだけ巨大な「窓」を開けた後は、いずれその窓を埋めにいく(下落する)力が働くのが相場の常である。しかし、強いトレンドには逆らわないこともまた鉄則だ。
次回戦略:「高値追いは厳禁、押し目形成と窓埋めへの警戒」
明日のNF日経レバ(1570)は、本日の終値(52,900円)を基準としつつも、新規の買い(高値追い)は極めてリスクが高いと判断する。基本は「利確優先・新規エントリーは様子見」とする。もし日中調整が入り、本日の安値圏(51,500円付近)まで押す場面があれば、そこを短期的なサポートラインと見なした打診買いを検討する程度にとどめたい。この狂騒の後には、必ず激しいボラティリティを伴う調整がやってくる。
閉めの言葉
上がると思えば下がり、下がると思えば一気に戻る。そして今日は、誰もが想像し得なかったほどの強烈な大空への飛翔を見せた。
事前の想定レンジを遥かに超える歴史的な急騰に、早すぎる利確をして後悔している人や、完全に乗り遅れて焦燥感に駆られている人も多いはずだ。しかし、相場は逃げない。今日のような狂騒の波に乗れなかったとしても、それは決して「負け」ではない。
焦る必要はない。熱狂の中に取り残されたように感じても、相場は必ず次のチャンス(押し目や窓埋め)を用意してくれる。自らの資金を守り抜いた自分を褒め、激動の相場の声に、明日も静かに耳を傾けるだけでいいのである。

