前日を振り返って:エヌビディア決算前の様子見と6万円大台割れの大幅続落
前営業日である5月20日の相場は、巨大イベントである米エヌビディアの決算発表を前にした強烈な様子見ムードとリスク回避の売りが重なり、心理的節目の6万円をあっさりと割り込む「大幅な続落相場(5日続落)」となった。
日経225は米国株安を受け、前日終値近辺で寄り付いたものの上値は全く追えず、始値が高値となる典型的な「寄り天」の展開となった。ソフトバンクグループやフジクラなどAI関連の一角が大きく売られ、序盤で一気に下げ幅を1,200円超に拡大。その後売り圧力は和らいだものの戻りは極めて鈍く、後場は一度も6万円を回復できないまま低空飛行が継続し、終値は59,804円(前日比-746円)で引けた。NF日経レバ(1570)も同様に、始値が高値(60,220円)となりそこから一気に崩落。安値は57,900円まで突っ込み、終値も59,060円(前日比-1,470円)と、事前の想定レンジを下回る厳しい着地となった。
明日の相場を占う上で警戒すべきは、前日の乖離値(300〜1,300円)と、依然として高止まりしている値幅(2,300円)である。マイナス圏ではなくプラス圏で推移した乖離値は、現物指数のパニック的な急落に対して、レバレッジETFの価格が「下げ渋る(押し目買いを狙う投資家が存在する)」という需給の歪みが発生していたことを示している。しかし、連日のように2,000円を超えるボラティリティが発生しており、相場が極めて不安定な状態に陥っている事実に変わりはない。
寄り前情報:中東リスク後退の追い風と、決算通過による「事実売り」の交錯
本日の相場環境は、最大の懸念材料であった不確実性が一つ消化され、好悪の材料が入り混じる展開となっている。
プラス材料としては、米国とイランの交渉進展への期待が高まっていることだ。これまで相場の重石となっていた地政学リスクとそれに伴う原油高・金利高の懸念が後退し、下落していた相場の揺り戻し(買い戻し)が入りやすい地合いとなっている。
一方で、世界中の投資家が固唾を呑んで見守っていた半導体大手エヌビディアの決算が日本時間早朝に発表された。売上高は市場予想を上回る好決算であったものの、決算前に過度な期待から買いが集まっていた反動もあり、時間外取引では株価が下落している。いわゆる「事実売り(セル・ザ・ファクト)」の動きである。
ロイターの予測によれば、本日の日経平均は中東情勢の好転を背景に「反発する見通し」とされている。しかし、エヌビディアの時間外下落が日本の半導体関連株への重石となる可能性も高く、手放しで喜べる青天井相場にはなりにくい。日経平均の予想レンジは60,000円─61,500円と設定されており、まずは心理的節目である6万円の奪還と、その後の定着が最大の焦点となる。
本日の戦略:6万円台回復への順張りと、半導体株の上値の重さへの警戒

中東リスク後退による反発期待と、エヌビディア決算通過による事実売り、そして連日の値幅2,300円というボラティリティを考慮し、本日のNF日経レバ(1570)の想定レンジは以下のように設定する。
想定レンジ:58,500円 〜 61,500円
基本戦略:「アク抜けの反発に乗る順張りと、上値での欲張らない利益確定」
本日は、最大の不確実性であったエヌビディア決算を通過したことによる「アク抜け(不透明感の払拭)」からの反発をメインシナリオとし、6万円台回復へ向けたトレンドに素直に乗ることを基本方針とする。
- 58,500円〜59,500円の下値圏(寄り付きの事実売りと底値固め):
エヌビディアの時間外下落を受け、寄り付き直後は日本の半導体関連株にも売りが波及し、指数が下押しする可能性がある。しかし、好決算という事実と中東情勢の好転というバックボーンがあるため、下値は堅いと推測される。前日の安値(57,900円)を割り込まないことを確認しつつ、売り一巡後の反転シグナル(下ヒゲや陽線の形成)が見られれば、絶好の押し目買いのタイミングとなる。 - 60,500円〜61,500円の上値圏(6万円定着の確認と戻り売り圧力):
買い戻しが優勢となり日経平均が6万円台を回復していく局面では、NF日経レバも力強い上昇を見せるだろう。しかし、ここ数日の5日続落で捕まっている投資家の「やれやれ売り」が上値に控えているため、一本調子での急上昇は期待しにくい。この水準に達した場合は、深追いを避けて保有ポジションの利益をこまめに確定(キャッシュ化)させ、確実に勝ちを拾っていく立ち回りが求められる。
閉めの言葉
上がると思えば下がり、下がると思えば一気に戻る。長らく相場を重苦しい空気に包んでいたエヌビディア決算という巨大な雲が、ついに晴れた。
市場の期待値が高すぎたゆえの「時間外下落」ではあるものの、業績の力強さが証明されたことで、底知れぬ恐怖心からは解放されたと言えるだろう。5日続落という厳しい試練を耐え抜いた投資家にとって、今日は反撃の狼煙を上げる1日になるかもしれない。
しかし、焦る必要はない。不確実性が一つ消えたとはいえ、2,300円を超えるボラティリティの波が完全に凪いだわけではないのだ。熱狂と落胆が入り混じる決算直後の相場において、最も強い武器は冷静なリスク管理である。自らのルールを信じ、今日も力強く動き出す相場の声に、静かに耳を傾けるだけでいいのである。

