戦略のまとめ
本日の事前の戦略は、前日の歴史的な「寄り天(大陰線)」による上値のしこりと、米国市場での半導体株安を受けた利益確定売りを警戒し、「戻り売りの徹底と、落ちてくるナイフを避ける打診買いの自重」を基本方針としていた。
想定レンジは「68,000円 〜 70,500円」に設定。日経平均が64,700円のサポートを試す展開ではNF日経レバも68,000円台まで下押すと予測し、安易な押し目買いの危険性を指摘。仮に反発したとしても、前日の7万円台で捕まった大量の「しこり玉」によるやれやれ売りが厚い壁になると判断し、戻り局面は絶好の売り場としてキャッシュポジションの確保を推奨するシナリオを描いていた。
実際の値動き

結論から言えば、本日の相場は事前の「上値の重い展開」というロイター予測や想定レンジに概ね沿った動きとなり、方向感が定まらずに乱高下を繰り返す「不安定な調整相場」となった。
■日経225
・始値 64,770円
・高値 65,165円
・安値 63,875円
・終値 64,693円(前日比 -306円)
■NF日経レバ(1570)
・始値 68,560円
・高値 69,710円
・安値 66,970円
・終値 68,680円(前日比 -880円)
日経225は米国株高を受けても3桁の下落でスタートし、米国ハイテク株の弱さを引き継いでAI関連が売られたことで開始早々に下げ幅を500円超に拡大。その後電子部品株などの買いでいったん切り返し前場は小幅プラスとなるなど、終日不安定な動きが続いた。後場は前引けから大きく水準を切り下げて始まり、中東の地政学リスクの高まりも嫌気されて一時は下げ幅を1,100円超に拡大し、63,800円台へ突入。しかし13時台半ばに売りが一巡すると引けにかけて大きく値を戻し、306円安の64,693円と「いってこい」の展開で取引を終えた。
NF日経レバ(1570)も、始値68,560円から乱高下を繰り返し、安値は事前の想定レンジ下限(68,000円)を下掘る66,970円まで急落。引けにかけて買い戻されたものの、終値は68,680円(前日比-880円)と、厳しい着地となった。
テクニカル分析(1570チャートより)
本日の「image_68.png」のチャートからは、方向感のない激しい乱高下と、下値での買い支えの攻防が読み取れる。
・ローソク足と移動平均線:前日の大陰線に続き、本日は上下に長いヒゲを伴う陰線を形成(十字線に近い形状)。ボリンジャーバンドのミッドバンド付近(66,970円)で一度はサポートされ反発を見せたものの、+1σとミッドバンドの間で完全に方向感を喪失している。
・MACD:プラス圏ではあるものの、デッドクロス(MACD線がシグナル線を下抜け)を形成し、ヒストグラムがマイナスへ転じている。上昇トレンドの終焉と調整局面入りを明確に示すサインだ。
・RSI(相対力指数):買われすぎ水準から中央値(50付近)へ向かって鋭角に低下しており、過熱感は完全に払拭されたものの、買いのモメンタムも消滅している状態である。
本日の日経225とNF日経レバの乖離値及び値幅
■本日の乖離値
-4,600〜-3,100円
■本日の値幅
2,800円
明日の相場を占う上で、このデータは「依然として残る需給の歪みと、高止まりするボラティリティ」を示している。
乖離値は「-4,600〜-3,100円」と、前日(最大-6,000円)からは大きく縮小したものの、依然として異常なマイナス圏にある。後場の日経平均の急反発に対してレバレッジETFの価格上昇が追いついていないことを意味しており、空売り勢のショートカバー(買い戻し)が一巡した後の「純粋な買い意欲の乏しさ」が浮き彫りになっている。
そして値幅は2,800円を記録した。連日で3,000円近い暴力的なボラティリティが発生しており、日経平均が1,100円安から大きく切り返すなど、市場は極めて神経質で不安定な状態が継続している。
反省
本日の最大の反省点は、「日経平均の乱高下は予測できていたものの、後場の中東リスク報道による急落の深さ(NF日経レバの67,000円割れ)をやや見誤り、想定レンジを下掘る展開となったこと」である。
相場が方向感を失い、ヘッドライン(ニュース)一つで1,000円幅で乱高下する環境下では、サポートラインの設定自体が極めて困難になる。ボラティリティが高止まりしている現状においては、デイトレード以外での安易なポジション保有はリスクが高すぎることを改めて痛感させられた。
東京市場サマリー(MOOMOO証券より引用)
28日の日経平均は反落し、終値は306円安の64,693円。米国株高を受けても3桁下落スタートとなり、場中は方向感が定まらず終日不安定な動きが続いた。
開始早々に下げ幅を500円超に拡大した後、電子部品株などの買いでいったん切り返し前場は小幅プラスで終えた。しかし後場は前引けから大きく水準を切り下げて始まり、中東の地政学リスクの高まりを嫌気して一時下げ幅を1,100円超に拡大。63,800円台へ突入する場面もあった。その後売りが一巡すると大きく値を戻し、後場の高値圏で取引を終えた。東証プライムの売買代金は概算で10兆8,600億円。金属製品やパルプ・紙が上昇した一方、非鉄金属や保険が下落。買い優勢金額1.66兆円に対し、売り優勢金額1.73兆円と売りがやや優勢であった。
本日の注目銘柄
本日は、AI関連への売りが目立つ中で、MLCC関連への継続的な物色や、個別材料株への資金集中が際立った。
・太陽誘電(6976):AI関連でのMLCC需要期待から朝安後に急騰し、連日の上場来高値更新(値上がり率トップ:+17.00% / 13,010.0円)。村田製作所も連れ高。
・イーディーピー(7794):2インチウエハー製作用モザイク結晶開発の成功と新中計発表を材料に一時ストップ高。
・ダイナミックマッププラットフォーム(336A):慶大院との共同研究の成果論文採択を手掛かりに3日ぶり急反発。
・豊和工業(6203):防衛向けドローン(共同開発)への思惑からストップ高。中東情勢の緊迫化も後押し。
・オカムラ食品工業(2938):国産養殖サーモンの過去最高生産量報道を受け急騰。
・スクウェア・エニックス・HD(9684):ドラクエ12の発売時期未定が失望され急落。
・古河電気工業(5801):AI関連売りの煽りを受け、値下がり率トップ(-7.32% / 52,000.0円)。
次回戦略
値幅2,800円の暴力的な乱高下と、MACDのデッドクロス。相場は完全に方向感を喪失し、危険なボラティリティの波に呑まれている。
次回戦略:「週末のポジション調整警戒と、ボラティリティの収束確認」
明日(5月29日)のNF日経レバ(1570)は、週末金曜日ということもあり、本日の「いってこい」の余波を引き継いだポジション調整(手仕舞い売り)が主体となる展開をメインシナリオとする。コアレンジは引き続き下値を警戒し「66,500円〜69,500円」に設定する。基本戦略は「引き続き打診買いの厳禁と、ボラティリティ(値幅)の収束を静観する」ことだ。MACDがデッドクロスを形成した以上、トレンドは下落優勢に傾いている。ヘッドラインで1,000円動くような相場環境では、サポートラインでの逆張りは命取りになる。週末を控えて無理にポジションを取る必要はなく、まずは1日の値幅が1,000円程度に落ち着く(日柄調整が完了する)のを待つのが最善策である。
閉めの言葉
上がると思えば下がり、下がると思えば一気に戻る。今日の相場はまさにその言葉通り、投資家の心理をジェットコースターのように振り回し、疲労困憊させるだけの1日であった。
前場のプラス転換で「押し目だ」と飛びついた投資家を、後場の中東報道による1,100円の急落が襲う。そして「底割れだ」と損切りした直後に、今度は買い戻しによる急反発が起きる。方向感のない乱高下相場では、このような「往復ビンタ」を食らうリスクが極めて高い。
焦る必要はない。相場が荒れ狂い、誰も方向感を掴めない時に、無理に戦場に立つ理由はないのだ。MACDのデッドクロスという明確な調整サインが出ている今は、剣を収め、嵐が過ぎ去るのを待つのが真の投資家である。自らの資金と心を守り、明日も気まぐれな相場の声に、安全な場所から静かに耳を傾けるだけでいいのである。

